ごくざっとはじめに
「達筆もすなる書写といふものを、悪筆もしてみむとてすなり」というのは、紀貫之の丸パクリではありますが。
シゴト柄、ラベルや掲示物を書いたり作ったりすることが多くて、例えば、バラだったり一年草のギャザリングコンテナだったりのラベルなんかで、イラレを使わないで、こじゃれたハンドレタリングでちょっとした説明なんかを書きたいなと思ってて、ハンドレタリングの本を読みながら練習したりしてるんだけど、この春から、フェリシモさんのガラスペン入門レッスンというのを始めて、レッスンのまとめとして、教材の紙モノを使ってやってみようとはじめました。
インクはパイロットさんの色彩雫のシリーズを使おうと思います。
色彩雫、日本の自然に由来する、絶妙な色合いとネーミングの万年筆インクのシリーズです。webサイトには、ペン字の先生方の流麗な作品が「見本帖」として掲載されています。わたしもまねをして、色彩雫のインクで詩歌を書くなら何を書こうか、と和歌や短歌、漢詩などを集めて遊んだことがあり、それを書いてみることにしました。
冬柿
とゆことで、はじまりの一首は、古今集仮名序から、王仁博士の『難波津の歌』、使ったインクは『冬柿』です。
難波津に咲くやこの花冬ごもり今を春べと咲くやこの花

【ガラスペン 】フェリシモ「ガラスペン入門レッスン」教材
インクの名前は初冬をイメージする「冬柿」なのに、どーーうして「咲くやこの花」なんだよ?みたいなツッコミがありそうなので、以下つらつらと言い訳をば。
難波津の歌を選んだ理由は、この冬柿というインクの色からの発想です。この色を見たとき、お習字のときの朱墨の色を思い出しました。もう何年も昔の話ですが、修論やってたときに、論文の手直しはこの色を入れた万年筆を使っていました。
難波津の歌は、手習い歌とも言われていて、源氏物語の中でも、後の紫の上のことを、おばあさまの尼君が「まだ難波津もちゃんと書けない」みたいなことを言う場面があったかと。『うちの子はまだまだ子どもで・・・』なんていう感じなんでしょうね。
そんなわけで、冬柿なのに咲くやこの花の歌、手習いの先生が入れる朱墨をイメージして選んでみた、というわけです。
本家の「見本帖」は、正岡子規の「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」。
これはもうお見事、としか言いようのないセレクトですね。